画家・榎並和春 2011/3からHPアドレスが変ります。
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2008個展によせて
「いつかみたところ1」 榎並和春
例えば色んな雲の形から何かしらの形を見つけ出して話を作るとか、壁のシミや木目からヒトガタを見つけ出したりして遊ぶとか、そんなイメージ遊びは子供の頃に良くやったものだ。人は今までにみた風景や出来事を心の奥底にしまっていて、普段は何事もなく暮しているのだけれど、ふとした拍子にどこかで見たような不思議な感覚に捕らえられることがある。
人は何度もなんども同じようなシーンに出くわす。もう慣れっこになってしまって、何の不思議も感じなくなってしまっているけれど、実際は今日一日で一生分の出来事があったと同じなのでは無いかな。「博士の愛した数式」ではないけれど、数時間前の出来事を全て忘れてしまえば、日々が真新な驚きに満ちているだろう。
私の絵はいつも新鮮だ。というのはいつも壊して終っているから、次の日は新しいところから始まる。このまま永久に仕上がらないのではないかと毎日不安になる。ところがちょっとした機会にスーット絵が出来上がる。これが毎回不思議に思う。今回もそれを待っているのだが、ひょっとすると今回は美の女神は舞い降りてはくれないかもしれない。
絵を描く面白さは、ぶっつけ本番の真剣勝負だと思っている。自分の心の中に浮かんだものが何なのか、具体的になってくるまで自分でもわからない。もうすでに分かっていることを描いても面白くない。それよりも私は何故それに引っかかりを感じたのか、そんな心の中を知りたいと思う。
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