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画家・榎並和春  2011/3からHPアドレスが変ります。 → http://enami.sakura.ne.jp
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「ビーナス誕生」仮題・部分
 
 上は今日一日何回も上から描き込んだ。一時はもうだめかと諦めて上から絵の具を塗り込んだら、かえってそれが良かったのか復活した。だめで元々とエイやっとぶち壊すと良くなったりする。良くあることだ。ここが上手くいったと思って残そうと思うとつまらないものになってしまう。

 昨日の続きではないけれど、いいか悪いかの判断は微妙で言葉で説明するのは難しい。全くどうしようもない作品がどこか一箇所に点が、一本の線が入る事で見事に蘇る場合がある。これは全く奇跡のような瞬間で、絵を描いていて面白い良かったと思う瞬間だな。

 どんな駄作でもその作品にとって最高の瞬間というのがあるのじゃなかろうか、ある一点を過ぎるともう潰れてしまう。後はどうあがいてもその瞬間より絶対に良くはならない。それを見極めるのがまた難しい。大体描いている途中と言うのはあばたもえくぼ状態で、自分の絵にほれ込んでいるので五割以上良く見えている。明日になればげっそりするのは見えているのだが、それはそれ描いている時は見えない。

 その窮みを知りたいと思う。それを知るために絵を描いているのか?な。

 美が生まれる時まさに「ビーナス誕生」ではないかな。
 
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